湯沸器

26.1025

北海道開拓の村に移築復元・再現されている展示建造物や、建造物内の数ある展示資料をクローズアップしてその歴史をひも解く「コラム【むら・モノがたり】」。
開拓の村のご見学の際は、こちらのコラム記事でご紹介している【モノ】も併せてお楽しみください。


旧来正旅館に入り、奥へ進むと、高さのある小判型の桶に蛇口がついた道具が見えてきます。

この道具は、蛇口をひねるとお湯を使用できる湯沸器です。


上写真:旧来正旅館の湯沸器


現代の給湯器と違い、水や熱源の自動供給機能は無いため、都度、水や木炭を追加する必要がありましたが、貴重なお湯を手軽に使用できる便利な道具でした。

風呂場にある鉄砲風呂と比較してみると、まるで小さな鉄砲風呂といった形であることがわかるでしょう。

この湯沸器の原型は、江戸期より使用されてきた「手風呂」と思われます。


上写真:旧武岡商店の鉄砲風呂


手風呂は冷えた手を温めるために欠かせない道具で、小判型の木桶の中に鉄の筒釡(鉄砲)があり、この釡に炭火を入れて桶中の水を温め、湯温を保ちます。

湯沸器は、手風呂に蛇口を取り付け、必要な量のみお湯を使えるようにしたものです。


上写真:木桶の中の様子(旧来正旅館)


なお、この湯沸器は、旧山本理髪店にも見られます。

そこでは、店舗奥に見える流し台の上に蛇口があり、その壁の裏側には桶が接続され、湯器の役割を果たしています。


上写真:旧山本理髪店の湯沸器