家で楽しもう! 年中行事 端午の節句


 野外博物館北海道開拓の村は、札幌市内における新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況を踏まえ、ゴールデンウィーク期間中の特別対策を強化するという北海道の方針にもとづき、2021年5月1日(土曜)より5月11日(火曜)予定の期間、臨時休館になりました。
 本来は、ゴールデンウィークのイベントで、皆様に、端午の節句の風習などを体験していただく予定でしたが、臨時休館中のため、この度、端午の節句の専用ページを公開しました。
 ご家庭で、端午の節句にちなんだ食『べこもち』、折り紙や新聞紙を使った『兜づくり』などを楽しんでみませんか。


端午の節句(たんごのせっく)って?

  5月5日の端午の節句は「菖蒲(しょうぶ)の節句」とも言われ、古くから菖蒲やよもぎが盛んに用いられました。
これは、かおりの強い植物に辟邪
(へきじゃ:邪悪を避ける)の力があると信じられたためです。
もともと、人々をおそう邪気を払い、心身の健康を獲得
(かくとく)するための行事だったといわれます。
鎌倉
(かまくら)時代に入ると、武家(ぶけ)の興隆(こうりゅう)の中で、菖蒲が「尚武(しょうぶ)」の語音と通じることから、菖蒲の節句は、男児の祝儀(しゅうぎ)と結びつき、武家の発展をねがう行事へと展開します。
それが、江戸時代に入ると、男児の出世と幸福をねがう庶民
(しょみん)の節句まつりとなりました。

こいのぼり・五月人形

  端午の節句に武者人形を飾り、鯉のぼりを立て、はなやかに男児を祝うようになったのは、江戸時代以降のことです。
武士の家が生まれた男の子の出世を願って馬印や幟を揚げていたのを、庶民が真似をして縁起物の鯉を幟に描いて揚げるようになったと言われています。
鯉は中国の「鯉が滝を登りきると龍になる」という登龍門伝説から、立身出世の象徴とされています。鯉のぼりの上に飾られる『吹き流し』は、古代中国の五行説に由来して五色に染められ、戦国時代から魔除けとして使われていた『五色吹き流し』が主流でした。ポールの上にある丸い『回転球』や『矢車』は、神様が下りてくる目印といわれています。


武者人形の始まりは、神送りをする神の形代で、のぼりは神を招く
(まねく)ための招き代(おぎしろ)の変化か、あるいは忌みごもり(いみごもり)の家を示すためのしるしから起こったと考えられたいます

『草餅(くさもち)』と『べこ餅』

 端午の節句の食には、桃の節句と同様に邪気払いを願ってよもぎを使用する草餅が食される一方、北海道独特の文化とも言われる「べこ餅」が見られます。類似する名称・製法のものは東北地方などにもみられます。
 粳米(うるちまい)粉や糯米
(もちごめ)粉に砂糖、よもぎなどを混ぜ込んで蒸す餅菓子は古くから冠婚葬祭(かんこんそうさい)や年中行事の際に作られており、べこもちもその一種とみられます。
 一口にべこ餅と言っても、地域や作り手によって形、手法、色、食べる時期が様々です。仕上げの形づくりには木型で木の葉型を抜くものや、木の葉を手で成形するものがあり、色も黒糖
(こくとう)と上白糖(じょうはくとう)の配合や混ぜ方で色々なパターンが見られます。

~ べこ餅の『べこ』の説 ~
北海道文教大学の研究紀要※には「べこ餅」の名称由来について次の5つの説が紹介されています。
(1)白と黒の配色が牛の柄に似ていることからべこ(牛)もちの名がついた。
(2)牛の色(茶色)からべこ(牛)もちの名がついた。
(3)生地をまとめて切る前の形が牛の背中に似ているためべこ(牛)もちの名が付いた。
(4)黒糖を混ぜた部分がべっこうの色に似ているため「べっ甲餅」と呼ばれるようになった。
(5)米粉(べいこ)から作るため「べいこ餅」と呼ばれるようになった。
 (1)の説については、ホルスタインの導入時期を理由に否定されることが多いですが、ホルスタインより早くに導入された白と茶のエアシャー種の存在があり、北海道での甜菜糖(てんさいとう)の生産・普及と併せて考えるとアレンジの基となった可能性は否定できません。ただ、元祖「べこ餅」に関しては(2)~(5)のいずれか、もしくはいくつかの複合的な理由により普及した名称と考えれます。
※荒井三津子2012『餅菓子文化の伝承ー北海道における『べこもち』の歴史と地域性ー」『北海道文教大学研究紀要36号』

べこもちを作ってみよう!

  ■材料(約50個)
 ①白・・・上新粉(じょうしんこ):500g、上白糖:400g、水:400㏄弱)
 ②黒・・・上新粉(じょうしんこ):250g、上白糖:75g、黒糖:125g、水:200㏄)
 片栗粉
■作り方
1.①白 上白糖(400g)・水(400㏄)を鍋に入れて火にかけて蜜を作る。
  ②黒 上白糖(75g)・黒糖(125g)・水(200㏄)を鍋に入れ、火にかけて蜜を作る。
2.①、②それぞれの蜜ができたら、①には上新粉(500g)、②には上新粉(250g)入れて混ぜ、二色の種を作る。
3.二色の種を同じくらいの長さにそれぞれ伸ばして、合わせてねじる。
4.一口大にちぎり、葉の形に成型し、表面に片栗粉をまぶす。
5.せいろで30~40分蒸す。

兜を作ってみよう!

トピックス ~邪気を払う!?『鐘馗(しょうき)』~

 
開拓の村で、例年飾っている
『鐘馗』

1936(昭和11)年・札幌市
(開拓の村蔵)

端午の節句飾り

室内には、甲冑や兜、鎧姿の大将人形のいずれか一点を中心に置き、人形や道具類を飾ります。一緒に飾る五月人形には、金太郎、桃太郎、神武天皇、鍾馗(しょうき)、飾り馬などがあります。

鍾馗は、悪霊や邪鬼を祓う中国の民間信仰の神様。

中国の伝説のひとつに…

 『唐の玄宋皇帝が開元年間(713-41)におこり(疫病)にかかった際、夢の中に大きな鬼があらわれ、皇帝をからかう鬼を捕らえて体を引き裂いて食べてしまいました。夢の中に出てきた大きな鬼は鍾馗と名乗り、かつて試験に落第した書生で、それを悲観して自殺したものでした。夢から覚めるとおこりがすっかり治っていた皇帝は、画家に鍾馗の絵を描かせ、悪霊や邪鬼を祓う守り神としたと言われています。

中国で疫病を祓う神として信仰されていた鍾馗が、室町時代以降、日本でも信仰されるようになり、やがて端午の節句に飾る幟にその像が描かれたり武者人形に造形化されました。

 

開拓の村では例年、端午の節句に「鍾馗」を飾っています。
今年は、臨時休館のため、直接ご覧いただけませんが、特に邪鬼を祓ってもらえたらと願うばかりです。
※参考:『日本民俗大辞典』(吉川弘文館)


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